予算5万円!AIイラスト生成用グラボの失敗しない選び方
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Stable Diffusion webUIのような画像生成AI使うと、超きれいなAIイラストが無限に作れます。
一見するとウハウハのような状況ですが、ここにちょっとした落とし穴が。
それがAIイラストの「生成時間」です。
Stable Diffusion webUIでAIイラストを作成する場合、生成にかかる時間はグラフィックボードの性能に左右されます。
つまり、ギリギリStable Diffusion webUIが動いているようなPC環境だと、この生成時間がかなり長いのです。
これを解消するにはグラフィックボード(略称:グラボ)の交換(パワーアップ)しかありません。
そこで予算5万円程でどんなグラフィックボードがおすすめか考えてみました。
高い買い物だけに絶対に「失敗」したくありません。
ちなみに、結論だけ先に言うと、AIイラスト作成に今一番コスパが高いおすすめグラボは「RTX3060/12GB」です。
理由については記事で詳しく書いているので参考にしてください。
題して「予算5万円!AIイラスト生成用グラボの失敗しない選び方」、始まります。
目次
1: AIイラスト生成にかかる実際の時間は?
2: Stable Diffusion webUIでGTX1060とRTX3060を実測チェック
3: 予算5万円!グラフィックボードの失敗しない選び方
4: AIイラスト用グラボ選びのまとめと考察
AIイラスト生成にかかる実際の時間は?
Stable Diffusion webUIでAIイラストを作り始めた頃は、自分のPCできれいなイラストが作れるだけでも感動したものです。
私も数年前に作ったゲーミングPCで何枚もイラストを作り、時間を忘れてプロンプトを打ち込んでいました。
■最初はAIイラストを作るだけでも楽しかった

ですが、Stable Diffusion webUIの使い方に慣れてくると、だんだんと生成する画像の枚数が増えてきます。
それこそ1日で数百枚といったレベル。
そして最初は気にしていなかった画像の生成時間が、とてつもないストレスになってきたのです。
2-3枚ならそれこそ1-2分で作れて気にならなかった生成時間も、一度に50枚とか作ろうとすると30分以上かかるようになるわけですから。
■何十枚も作るとめっちゃ時間がかかる

そこで今使っているPC環境で画像生成にどのくらい時間がかかるか計測してみました。
こやって見ると、やはり古いゲーミングPCだと厳しい現実が見えてきます。
■現在使っているPC環境
CPU:core i5-6500
GPU:GTX1060/6GB
メモリ:DDR4/16GB
ストレージ:HDD/3TB
GPU:GTX1060/6GB
メモリ:DDR4/16GB
ストレージ:HDD/3TB
■7年前に作った自作PC

この構成で数種類のサイズの画像生成を行った結果がコレです。
大きすぎる画像はGTX1060だと生成時にエラーが出てしまうので実用的な範囲に留めております。
■GXT1060を使った生成速度
モデル:AnythingV3.0
サンプリング:DPM++2M Karras
画像サイズ | GTX1060/6GB |
---|---|
512×512 | 17.3秒 |
768×768 | 47秒 |
1024×768 | 68秒(1分8秒) |
1280×720 | 95秒(1分35秒) |
1024×1024 | 106秒(1分46秒) |
1280×1024 | 152秒(2分32秒) |

一通りよく作るであろうサイズで実測してみた結果がコレです。
比較的軽いサンプリングを使って512×512サイズを生成するなら1枚20秒ほど。
数枚ならあまり「待った」という気にはなりません。
■1024×1024はさすがに時間がかかる

ただ、1024×1024サイズまで大きくなると、1枚生成するだけでも2分近くかかります。
しかも「足が3本」あったりする失敗画像の可能性も高いため、このサイズを連続で数十枚とか生成するならそれなりの待ち時間が必要です。
GTX1060くらいの性能だと、イラストの生成サイズは512~768くらいに留めておくのが現実的と思います。
実際私もそのサイズでの作成がメインでした。
■趣味で楽しむならGTX1060クラスでも十分

ぶっちゃけ、趣味でAIイラストを1日数枚作る程度ならGTX1060クラスのグラフィックボードでも問題ないのです(待ち時間はコーヒーでも飲んでいればいい)。
それ以上の環境が欲しくなるのは「1日に何百枚も作りたい」とか「仕事でも活用したい」といった用途になってくるでしょう。
Stable Diffusion webUIでGTX1060とRTX3060を実測チェック
個人でAIイラストを遊ぶ程度ならGTX1060相当のパフォーマンスがあれば十分です。
しかし、「もっとガンガン使いたい」「もっと生成時間を短縮したい」と考えるなら、グラフィックボードのアップグレード(換装)が必要です。
そこでちょうど組み上げた自作ゲーミングPCにRTX3060/12GBを搭載したので、StableDiffusion webUIの生成比較を行ってみたいと思います。
■自作した新型ゲーミングPCでも検証

マシンスペックなどの差もありますが、GTX1060環境とRTX3060環境のおおまかな違いは分かると思います。
結論から言うと、グラフィックボードが高性能であればあるほど、AIイラストの生成時間は短くなります。
■GTX1060とRTX3060の生成時間の比較
モデル:AnythingV3.0
サンプリング:DPM++2M Karras
画像サイズ | GTX1060/6GB |
---|---|
512×512 | 17.3秒 |
768×768 | 47秒 |
1024×768 | 68秒(1分8秒) |
1280×720 | 95秒(1分35秒) |
1024×1024 | 106秒(1分46秒) |
1280×1024 | 152秒(2分32秒) |
512×512(8枚) | 104秒(1分44秒) |
画像サイズ | RTX3060/12GB |
---|---|
512×512 | 4.6秒 |
768×768 | 12.8秒 |
1024×768 | 20秒 |
1280×720 | 28秒 |
1024×1024 | 33秒 |
1280×1024 | 47秒 |
512×512(8枚) | 26秒 |

GTX1060とRTX3060で生成比較をした結果はこうなりました。
おおよそですが、RTX3060はGTX1060より3倍強で生成を行っています。
ここまで生成時間が短くなると、512×512サイズならあっという間に出来上がる感じ。
8枚連続で作っても1分もかからないのは非常に魅力的と言えるでしょう。
■512×512の8枚生成が1分未満は魅力

実際、RTX3060もグラボとしてはそんなに速い方ではありません。
もっと速度が欲しいならRTX4070や4080といったハイエンドの製品を狙うしかないでしょう。
予算5万円!グラフィックボードの失敗しない選び方
さて、実際にGTX1060とRTX3060の生成時間などを検証してみましたが、今からAIイラストを始めるならある程度パワーのあるグラフィックボードを選んだ方がいいと思います。
逆にAIイラストは趣味でゲームが主体なら、ゲーム寄りの性能のグラボを選んだ方が満足度は高いでしょう。
使用用途をしっかり決めて、失敗しない選択をすることが大切です。
■予算が潤沢ならRTX4070以上を狙いたいが…

当然、ハイスペックなグラフィックボードを選べばゲームもAIイラストも両立可能ですが、そこに立ちふさがるのが「予算」の壁です。
現実問題として一般人がグラボにつぎ込める予算は5万円が上限だと思っています。
私が自作PCを組む時でも、やはり最大5万円以内で抑えます(本音を言えば3万円ほどに抑えたい)。
そこで5万円以内(程度)で買えるAIイラスト向けのコスパのいいグラボを探してみましょう。
■5万円前後で買えるグラフィックボード候補
・RTX3060/12GB/価格帯:39,800~55,000円
・RTX3060ti/8GB/価格帯:53,000~59,800円
・RTX4060/8GB/価格帯:43,800~55,000円
・GTX1660Super/6GB/価格帯:23,800~29,800円
・RTX3060ti/8GB/価格帯:53,000~59,800円
・RTX4060/8GB/価格帯:43,800~55,000円
・GTX1660Super/6GB/価格帯:23,800~29,800円
5万円前後の価格帯で手に入りそうなグラフィックボードはだいたいこの3種類(1種類はどうしても低価格に抑えたい場合の妥協案)。
AMDのRADEON系はStableDiffusinで安定しないので除外してあります。
AIイラスト重視ならRTX3060/12GBがおすすめ

これらの候補のうち「AIイラスト」メインか、「ゲーム」メインかで選択肢が変わります。
あくまで個人的な意見になりますが、AIイラスト重視なら「RTX3060/12GB」がおすすめです。
理由はいくつかありますが、やはりVRAMを12GB搭載していることが大きいです。
■RTX3060/12BGを勧める理由
・VRAMを12GB搭載しており、生成モデルの学習が可能になる
・VRAMが多いので生成可能な画像サイズも大きくできる
・FHD環境ならゲームも十分対応可能
・グラボの世代交代時期で今だと破格
・VRAMが多いので生成可能な画像サイズも大きくできる
・FHD環境ならゲームも十分対応可能
・グラボの世代交代時期で今だと破格
RTX3060/12GBはVRAM容量が大きいことに加えて、価格が下落傾向にあるのも強みです。
ちょうど新製品のRTX4060系が出た直後でもあり、RTX3060は在庫一掃も兼ねてかなり価格が下がっています。
■RTX3060は去年9万円近くまで高騰

※引用:価格.com
VRAMを12GB以上積んでいる製品はRTX3060を除くと4070、4070ti、4080、3080などハイエンド製品ばかりです。
新製品のRTX4060に16GBモデルが登場しますが、このグラボはコスパがイマイチでおすすめしにくい問題があります。
今、コスパ重視でAIイラスト用のグラボを選ぶなら「RTX3060/12BG」が一番おすすめです。
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■RTX3060/12GBの製品と価格帯
ASUS | DUAL-RTX3060-O12G-V2 | 44,500~48,000円 |
MSI | GeForce RTX3060 VENTUS 2X 12G OC | 42,800~49,000円 |
玄人志向 | GALAKURO GAMING GG-RTX3060-E12GB/OC/DF | 40,800~47,000円 |
GIGABYTE | GV-N3060EAGLE OC-12GD Rev2.0 | 42,800~48,800円 |
ゲーム重視ならRTX3060tiがおすすめ
普段はゲームが中心でたまにAIイラストを作成する、というケースならRTX3060tiがおすすめになります。RTX3060tiは3060に比べてゲーム性能が高く、最新FPSゲームなどでも描画性能にかなり余裕があります。
さすがに4k画質は厳しいですが、FHD環境なら最適と言えるでしょう。
VRAMが8GBと少ないのでAIイラストで大きな画像を作るのには心もとないですが、ゲーム中心なら3060ti一択だと思います。
3060/12GBとの価格差もそれほどないため、どっちにしようか迷ったら、自分の使用目的を考え直してみてください。
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■RTX3060ti/8GBの製品と価格帯
ZOTAC | ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Ti | 53,000~58,000円 |
MSI | GeForce RTX3060 Ti VENTUS 2X 8GD6X OC | 51,800~58,000円 |
ASUS | DUAL-RTX3060TI-O8GD6X | 55,000~59,000円 |
GIGABYTE | GV-N306TXEAGLE OC-8GD | 54,000~59,800円 |
なお、最新のRTX4060ですが、これについては一旦保留です。
どうにもコスパがイマイチ、ついでに人気もありません(秋葉原の深夜販売1人は伝説です)。
RTX3060の在庫がなくなれば選択肢に上がってきますが、4060系を使うかどうかは「お好みで」としか言えません。
とにかく、予算と使用用途をしっかり考えて、「失敗」のない選択をしてください。
【PR】予算が潤沢なら12万円程のRTX4070tiがおすすめ
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予算が潤沢にある場合は、値段を気にせず性能重視で選んでみるのもアリです。
コスパで見るとRTX4070ti/12GB(12万円台)のバランスが良く、とにかく速さを求めるならRTX4080/16GB(18万円台)が候補になるでしょう。
最高峰のRTX4090ともなると、30万円近いロマンあふれる最強ボードです。
なお、グラボを選ぶ時は面倒だからとAmazonに頼るだけでなく、PC専門ショップもチェックしましょう。
思わぬお宝価格に出会うこともあるのでチェックは入念に。
【PR】おすすめのPC専門ショップ
AIイラスト用グラボ選びのまとめと考察
Stable Diffusion webUI(画像生成AI)で使う場合、コスパの良いおすすめグラフィックボードは何なのか?
結論から言うと「RTX3060/12GB」が2023年8月段階ならおすすめです。
グラボの世代交代で値崩れしており、かなり安くなりました(2022年正月頃は9万円近くまで高騰していました)。
新登場の4060系が期待外れだったこともあり、「今」だとRTX3060/12GBがコスパ最強だと思います。
ただ、使用目的がAIイラストメインではない場合、総合性能の高いRTX3060tiも候補になります。
5万円台までだと選択肢がこの2つに絞られてしまうので、用途に応じて失敗のない選択をしてください。
1つだけ注意したいのは「RTX3060に8GB版」があることです。
「値段が妙に安い」3060があったら8GBの可能性があるので、製品の仕様は必ずチェックしましょう。
この記事がAIイラストへ興味を持つきっかけになれば幸いです。
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2023年6月末現在、CPUやSSDといったPCパーツが驚くほど安い。6/29現在で昨年4月に登場したAMDの「Ryzen 7 5700X BOX」なんてほぼ半額にまでなっていた。自作PC愛好家の私としても、ゲーミングPCを新調するならこのタイミングしかないだろう(今でしょ!)。
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